AIによる株式投資中級【リスクと期待収益率】

現在の投資額に対する将来の期待キャッシュフローの割合を「期待収益率」(expected rate of return)と呼びます。

わかりやすく,記号をE[r]としておきましょう。

実現する収益率がrであるとして,その期待値E[・]という意味です。

現在の投資額が90.9万円で,1年後の期待キャッシュフローが先の数値例で得られた100万円であるとしましょう。

この場合. (100万円-90.9万円)/90.9万円という計算によって,期待収益率E[r]はおおよそ10%になります。

ところで,期待収益率E[r]のことを単に「リターン」と呼ぶのが通例です。

しかし,“期待”という2文字を省略したがために,状態ごとに想定される「収益率Jrと混同されやすく,実際にかなりの誤用が見受けられます。

たとえば,「投資は高リスク・高リターンと言われるけれども,実際には高リスクを負担しても低リターンになる場合がある」という表現をしばしば目にしますが,これは典型的に間違った言葉の使い方です。

数値例において,状態aが実現するときの収益率は, (120万円- 90.9万円)/90.9万円を計算して32%であり,状態bが実現するときの収益率は, (86万円- 90.9万円)/90.9万円を計算して- 5.3 %です。

どうやら誤用する人はこの- 5.3%のことを「低リターン」だと思い込んでいるようです。

あくまでも,「リターン」とは期待収益率E[r]のことであり,数値例において10%です。

「高リスク・高リターン」という言葉の無用の誤解を避けるために,リターンという省略表現は避け、期待収益率と表現することにします。