AIによる株式投資初級【働き方改革と業務効率化】

金融機関における働き方改革では、AI(人工知能)やRPAなどの活用を通して、店舗や本部のデジタル化による業務効率化を進め、労働生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの推進によるメリハリある働き方の実現を目指している。

働き方改革とは、政府が掲げる労働政策の見直しの総称である。

2016年9月に働き方改革担当大臣が新設され、2017年3月には、働き方改革実行計画が策定された。

同計画では、

①同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善

②賃金引き上げ

③残業上限の設定など長時間労働の是正

④転職・再就職支援

⑤テレワーク、副業・兼業などの柔軟な働き方

⑥女性・若者の活躍

⑦高齢者の就業促進

⑧子育て・介護と仕事の両立

⑨外国人材の受け入れ

の9項目で改革の方向性が明示されている。

働き方改革は、多様な人材の活躍とワーク・ライフ・バランスの推進を両輪に、労働生産性を高める社会の実現を目指していると言える。

こうした働き方改革の取り組みは金融機関にも広かっている。

金融機関においては、人事・福利厚生の改善だけでなく、業務改革(BPR)や業務効率化によって、より効率的な経営による労働生産性の向上と長時間労働の是正によるメリハリある働き方が求められている。

金融機関にとっても、人材は重要な経営資源であり、介護や出産・育児など生活環境の変化による社員の離職は、貴重な人材の損失となる。

社員の仕事と家庭の両立をサポートできる、柔軟で選択肢の多い職場環境の構築が不可欠となってきている。

実際、多くの金融機関では、業務効率化を伴う、多様な人材の活躍(ダイバーシティー)並びに仕事と家庭の両立(ワーク・ライフ・バランス)の推進を経営戦略上の重要課題として位置づけている。

専門部署の新設、育児・介護制度の充実、保育所の設置、地域限定職の新設、女性・シニアの活躍、朝型勤務導入、会議の見直しや残業の削減など、様々な働き方改革に積極的に取り組んでいる。

従業員の就業満足度の向上、残業時間の削減や会議の減少などといった具体的な成果も出始めており、働いた時間ではなく生産性の高い労働力を求める姿勢は、今後も各金融機関のスタンダートとなろう。

一方で、金融機関にとって業務効率化も急務である。

金融のデジタル化による異業種の金融業務参入や日本銀行のマイナス金利政策などで銀行など金融機関の稼ぐ力が低下傾向にある中、特にメガバンクや地域銀行は、店舗や人員の削減を含めコスト削減を進めている。

しかし、店舗や人員削減にも限界があり、また、今後は逆に人口減による人手不足も想定されうる。

そのため、例えば、定型業務が多い事務の作業内容を見直し、ロボットやAI導入による自動化やデジタル化を進めることは、金融機関が生き残りを図るための必須事項と言えよう。

働き方改革実現のカギを握る業務効率化には、AIやRPAを始めとする技術の進展を受け、多くの金融機関が収益力強化や生産性向上のために取り組んでいる。

例えば、店舗の統廃合や、店舗における印鑑レス、ペーパーレス化、後方事務の本部集中、テレビモニターやタブレットの導入などを行う。

本部においては、部署の統廃合、審査業務の自動化、事務集中部門の再編、外部委託の活用などが実施されている。

今後は、これら取り組みが実際に従業員の満足度と生産性の向上を伴いながら、継続的に実行されるのか、活用しやすい職場の雰囲気・環境作りがなされるかが課題となる。

取り組み好事例の発信や情報共有化も有効な対策となろう。

現在ほとんどの金融機関が働き方改革と業務効率化に積極的に取り組んでいる。

しかし、そもそもそれを数値化し公表している時点で取り組みは緒に着いたばかりとも言える。

特に、女性の活躍支援を始め、働き方改革の取り組みや成果をわざわざ公表する必要がない状況こそが目指すべき姿だろう。