AIによる株式投資初級【地域銀行の有価証券運用】

地域銀行の預貸ギャップは拡大傾向にあり、100兆円を超える規模となっている。

これを有価証券などで運用しているが、必ずしも地域銀行の本業ではないため、リスク管理などで様々な問題を抱えている。

金融機関では、預金が貸し出しを大幅に上回る傾向が続いている。

特に地域銀行では、大手とは異なり、海外向けの貸し出しが制約を受けることから、預金と貸し出しの差、すなわち預貸ギヤップは大きくなっており、2018年3月で103兆円に達している。

地域銀行は、この余剰資金のうち86兆円を、様々な有価証券で運用している(2018年3月末)。

それ以外の資金は日本銀行の当座預金に置いているが、その金利は、ほぼ0~0.1%と極めて低利なことから、貸し出しに回し切れない資金は、日銀当座預金ではなく有価証券で運用する必要がある。

かつては、地域銀行の有価証券運用の主力は日本国債だった。

しかし、2013年の日銀の異次元緩和以降の国債購入増加で利回りが大幅に低下したことから、国債保有額は大幅に減少している。

このため近年では、地域銀行も運用先を外国債券やファンド運用などに振り向けている。

しかし、ここには大きな課題がある。

第一の課題として、外貨流動性の問題が挙げられる。

大手では、外貨建てのバランスシー卜上、顧客性預金が3分の1程度を占めているが、地域銀行では顧客預金は2割を切っている。

中長期の円投という比較的安定的な調達源を加味しても、地域銀行の場合、外貨調達額の約7割が市場リスクにさらされる手法で賄われている。

第二に、運用資産の規模の問題がある。

国債の利回りが先進国のほとんどで低下している中、平均運用利回りを押し上げるには、何らかのリスクを取るしかない。

そのためにはリスク分散が重要になるが、地域銀行がそれぞれ独立して運用しているため、一つひとつの資産クラスに対する投資金額は少額になる。

結果、リスク管理のための投資が割に合わなくなり、目が行き届かなくなる可能性がある。

第三の課題として、人材と情報の不足が挙げられる。

地域銀行に入社する人々の中で、有価証券運用に従事する目的の人材はごくわずかであろう。

人材不足を補完するため外部から採用するにしても、なかなか地域銀行が運用のプロを惹きっけるのは、容易ではないだろう。

従って、多様な有価証券運用を行うには人材が不足しがちである。

加えて、経営の中枢が、東京など情報の中心から距離があることや、投資規模が比較的小さいことなどから、どうしても地域銀行は、国際的な投資に関連する情報が遅れがちになる。

足元では、一部の新興国の通貨が下落し、通貨防衛のために政策金利が引き上げられる動きがある。

これに伴い、これらの国々の債券価格は下落するものもみられる。

こうした海外市場のボラティリティーの上昇は、地域銀行の資本を毀損する。

これは、ほとんどの銀行が有価証券運用を会計上「その他有価証券」に区分しているためである。

この勘定の含み損益は、「売買目的有価証券」とは異なり、期間利益には影響しないが、含み損が生じれば資本の部を低下させてしまう。

この回避のため、第三の勘定科目である「満期保有有価証券」に振り分けることも可能だが、一旦振り分けた有価証券は売却で益出しをすることができない。

その場合、収益を上げる機会を逃してしまう上、機動的な売却ができないことからリスク管理も難しくなる。

従って地域銀行としては、有価証券運用は「その他有価証券」の勘定で保有することが多く、仮に金利が上昇すれば、保有債券の含み損が資本比率を低下させることにつながる。

現在、地域金融機関の平均コア資本比率は10%程度と規制水準を上回っており、当面、有価証券運用の失敗で地域銀行の財務状況が大きく揺らぐことはなさそうだ。

しかし、預金が貸し出し以上のスピードで増え続けており、地域銀行の経営における有価証券運用とそのリスク管理の重要性は、今後一層高まるだろう。