AIによる株式投資中級【市場リスクと期待収益率】

具体的に株式iのリスクプレミアムが決まるということは,株式iの期待収益率E[ri]も決まります。

すなわち,無リスク利子率rfにリスクプレミアムを合計したものが要求収益率になりますが,株式市場の均衡では代表的な投資家について期待収益率と要求収益率が一致します。

CAPMはベーダ係数βを明示する一般式が最もよく使われますが,むしろ,市場ポートフォリオMと株式iの相関係数corrIMを明示する一般式のほうが本質的に理解しやすいと思われます。

この場合,その相関係数COrrn、4に株式iの標準偏差,71を乗じたものが市場リスクとなります。

すでに述べたように,市場リスクcorriM cr i は分散投資によって稍すことができない性質のものです。

さて,資本市場線(CML)の傾きは「リスクの価格」(market price of risk)と呼ばれています。

市場ポートフォリオの期待収益率はE[rχ11,無リスク利子率はrfであり,よって,その盖であるE[r.]-rfは市場リスクプレミアムです。

一方,横軸において市場ポートフォリオの標準偏差はらiです。

ということは,資本市場線(CML)の傾きは(E(rJ -rf)/叭,であり,これがリスクの価格です。

ということは。株式リスクプレミアム,リスクの価格に市場リスクを乗じたものであるとわかります。

極めて重要なポイントですが,総リスクcyiではなく,分散投資でも消すことができない市場リスクcorrLM g jだけがリスクプレミアムの対象になるということです。

逆に言えば,分散投資で消すことができる個別リスク(l-corriM) a.は,収益率の上乗せによって埋め合わせがされる対象ではありません。

これがCAPMの本質であり。直感的にわかりやすい理解の仕方です。

コーポレートファイナンスは企業の財務的な意思決定を取り扱う学問ですが,資金の提供を受けいる以上,投資家がどのような根拠でどのように行動し,何を求めるのかを無視して考察できるのではありません。

ポートフォリオ理論それ自体は証券投資のトピックですが,これをベースにしたCAPMはリスクプレミアムの決定を通じてコーポレートファイナンスに深く関与してくるのです。

相関係数corrYZの計算方法を,ソフトクリーム販売のY社株とビール販売のZ社株の苳例で示しています。

まず,「共分散」(covariance)は偏差の積の期待値です。

すでに説明したように,偏差(deviation)j:収益率が期待収益率(つまり平均)からどのぐらいズレているのかを状態別に見るものです。

Y社株とZ社株について状態別に偏差r-E[r]を掛け合わせ,状態が起こる確率で加重平均したものが共分散COVyzです。仮にある状態でY社株の偏差がプラスであるとき,Z社株の偏差もプラスならば,それらの積はプラスになります。

しかし,Z社株の偏差がマイナスならば,それらの積はマイナスになります。

ということは,偏差の積がプラスならば収益率は同じ方向に動き,マイナスならば反対方向に動いていることになります。

偏差の積の平均が共分散ですから,この尺度は傾向として収益率が同じ方向(プラス相関)か,反対方向(マイナス相関)かを見ていることになります。

しかし,分散cr2がそうであったのと同様,共分散COvYzの単位は%2(パーセントの2乖)になってしまううえに,数値の大きさに依存する尺度でもありますので,このままでは使いにくい難点があります。

そこで標準偏差の積cyYx,7z(これの単位も%2)で割ることにより,あえて単位なしの値に変換します。

これが「相関係数」(correlation coefficient)であり,必ず+1から-1までの数になります。

CAPMの代替的表現

ベーダ係数βは分散と共分散を用いて定義されます。また. CAPMはベーダ係数βを明示する一般式が最もよく使われますが,変形すると, 相関係数corrLMを明示する一般式になります。

リスク・期待収益率の原理(再)

投資には高リスク・高期待収益率の原理が働きます。

しかし,より厳密に述べると,この原理は総リスク,yiに対してではなく,分散投資で消すことのできる個別リスク-corriM) a ,を除外した後の,どうしても消すことができない市場リスクcorri、I c,iについてのみ該当します。