AIによる株式投資中級【株価のランダムウォーク】

株価が配当割引モデル(DDM)で説明されるということは,当然ながら,株価の変動は配当割引モデル(DDM)に代入する数値の変化によって説明されることになります。

より具体的に述べると,予想される将来の配当が増加(減少〉すれば,株価は上昇(下落)します。

また,株主の要求収益率が下落(上昇)すれば,株価は上昇(下落)します。

前者は式の分子における変化ですが。後者は式の分母における変化です。

いずれも配当の現在価値が変化することを意味しています。

もちろん,これらの変化をもたらす原因は,新しい情報です。

たとえば,原油高のニュースによって配当の予想僖は下がるかもしれませんし,景気が悪化しそうだというニュースによってリスク回避の程度が強まり,株主の要求収益率が上昇するかもしれません。

市場が効率的ならば,株価変動に規則性は生じないという考え方があります。

ある時点の株価変動はそれ以前の株価変動とは独立であり,デタラメに見える確率的な動きを示します。

これは「ランダム・ウォーク」(random walk)と呼ばれる現象で,酔っ払いの歩き方に由来する名称です。

一見すると,理諭性に乏しい主張に思われがちですが,むしろファイナンス理論とは整合する考え方であり,統計的にもほぼ実証されています。

第二の誤解ですが,しばしばランダム・ウォーク理論は配当割引モデル(DDM)と相容れない対立関係にあると認識されることがあります。

おそらく,株価の動き方がデタラメになるという結論が,かなり緻密な印象を与える配当割引モデル(DDM)との間に落差を感じさせるからでしょう。

しかし,デタラメになるのは株価ではなくて株価変動です。

むしろ,新しい情報に基づいて予想を修正するからこそ,株価はランダム・ウォークすると考えなければなりません。

たとえば,画期的なガン治療薬の開発に成功したという良い情報が配信されれば,この製薬メーカーの株価は上昇するでしょう。

しかし,その薬による副作用で患者が死亡したという悪い情報が配信されれば,株価は下落するでしょう。

これらの事件,事故,イベントは規則性なくランダムに発生するため,事前に予測することができません。

投資家が新しい情報に基づいて予想をそのつど改訂するならば,事前に予測できない新しい情報だけが株価を動かす原因となります。

したがって,株価変動がランダムになるという現象は。配当割引モデル(DDM)と対立しません。