AIによる株式投資中級【株式の価格】

希少な資源(ヒト・モノ・カネ)を浪費して,単にゴミ(売れないモノ)を作り出しそうなビジネスがあったとすれば,それを資金調達(カネ)の段階で止めることが理想です。

数多くあるビジネスに対して,株式市場の投資家はリスクに見合った収益率を要求し,そのハードルを超えられそうな投資プロジェクトだけを実施するよう,企業の経営者にプレッシャーを与え続けます。

つまり,株式市場はビジネスを評価する「投票所」の役割を果たしていると考えてください。

そうである以上,企業の経営者は必要な資金を調達すべく,現在やろうとしていることが「票」を入れてもらうに値する有望なビジネスであることを懸命にアピールしなければなりません。

株価は配当の現在価値によって決まります。

現在の配当だけではなく,将来の配当も株価に影響します。

そうであるからこそ,現在の内部留保は極めて重要な意味を持っているとも言えます。

また,市場が効率的ならば,新しい情報は速やかに株価に反映されます。

キャッシュフローの現在価値(PV: present value)について説明を済ませました。

この概念は,コーポレートファイナンスのありとあらゆる現象を理解するうえで決定的に歐要だと言えます。

J.B.ウィリアムズ(John Burr WiⅢams, 1900-1989)が1938年に提示した「配当割引モデル」(DDM:Jividend discount model) によると,株式の価格は将来のすべての配当の現在価値を合計したものとして決まります。

すなわち,それぞれ1株あたりの金額で,1年後の配当をdiv 2年後の配当をiiV2…とするとき,株価Pは株主の要求収益率kEのもとで,1年後の配当の現在価値div,/(l +CE)と,2年後の配当の現在価値div2/(l十kE)2と,3年後の…を合計したものになるはずです。社
責とは異なり株式には満期がありませんので,企業が倒産でもしないかぎり,理論上は永久的な将裝まで配当を予想することになります。

たしかに,配当を受け取る権利を証券化した金融商品が株式であると考えれば,このような理由も納得できそうな感じがします。

ところが,株式の理論価格はなかなかの曲者でして,一筋縄ではいきません。

典型的な誤解ないしは注意点が6つもあります。

以下では,順次これらの問題を論じていきます。

第一に,通常の教科書では1株あたりの株価Pを導き出す数式が示され,これに発行済株数Nを乗じたものが株式時価総額Eになると説明されます。

しかし,通常の教科書の順序で説明されると,1株あたりの株価Pが先に決まり,全体の株式時価総額Eが後から決まるかのような錯覚に陥りそうです。

本来,全体が先,部分は後です。たとえば,大航海時代の胡椒貿易の例で言えば,港に持ち帰った積み荷を売りさぱき,企業全体で稼いだ利益をシェアに応じて山分けする順序です。

報酬に関する論理的な順序がそうなのですから,それらの現在価値だって全体が先,部分が後になると考えるべきでしょう。

したがって,本サイトでは,あえて総額ベースの配当割引モデル(DDM)に置き換えることにしました。

すなわち,1年後の配当総額をDIV 2年後の配当総額をDIV2, 3年後の…とするとき,株式時価総額Eは株主の要求収益率kEのもとで,1年後の配当総額の現在価値DIV,/(l + kE)と,2
年後の配当総額の現在価値DIV2/(l + kE)2と,3年後の…を合計したものになるはずです。

そのうえで,このようにして導出された株式時価総額Eを発行済株数Nで割ったものが株価Pになるという順序です。

実際,部分が先,全体が後という考え方に縛られているかぎり,株式分割,株式発行,自社株買いが株価に与える影響を正確に理解できなくなってしまいます。

あくまでも全体が先,部分が後という順序で考えなければなりません。

ところで,債権者の報酬に対応しているのが負債時価総額Dであり,株主の報酬に対応しているのが株式時価総額Eです。

定義的に,企業価値Vは株式時価総額Eと負債時価総額Dの合計と等しくなります。

それゆえに,しばしば,この順序で数値が決まるかのような記述も見受けられます。

しかし,株主の報酬は順序的に最後なので,むしろ企業価値Vから負債時価総額Dを差し引いて株式時価総額Eになると考えたほうが本質的に正しいと思われます。

企業価値Vの大きさは投資プロジェクトの収益性で決まってきます。

そこから返済を要する負債時価総額Dを差し引くと,残余財産の価値として株式時価総額Eが決まります。

最後に,全体が先,部分が後という本サイトのアプローチに基づき,株式時価総額Eを発行済株数Nで割ったものが1株あたりの株価Pとなります。