AIによる株式投資中級【株式会社】

一般に,企業のビジネスには巨額の資金が必要ですが,どれほど裕福な資産家であっても,個人が出せる資金量には限界があります。

たとえば,前述した胡椒貿易の場合,それなりに大きな船を用意しなければ遠洋航海に耐えられません。

そこで最初の発案者は自分のアイデアを他人に披露し,共同出資で会社を作ることを持ちかけるでしょう。

このプランに賛同する投資家は,個人的な財産の余裕に応じて資金を提供し,それに見合った「株式」(shareまたはstock)を受け取ることになります。

株式会社が稼ぎ出す利益は,出資の割合(シェア)に応じて山分けすることになります。

諸説ありますが,譲渡可能な株式を発行している事実を株式会社の成立要件と考えることにすれば,イギリスの「ロシア会社」(1553年に設立)が世界最初の株式会社だと言われています。

また,高校の世界史の授業にも出てくる有名な事例といえば,やはり胡椒貿易を行っていたオランダの「東インド会社」(1602年に設立)でしょう。

この会社は現在と同じ「配当方式」と呼ばれる利益分配ルールを確立しました。

つまり,出資された株主資本を株主に払い戻すことはせず,稼ぎ出した利益だけをシェアに応じて分配します。

そうであるがゆえに,企業は出資金を永続的に使うことができ,いちいち解散する必要がありません。

この方法が現在の株式会社制度のルーツになっています。

たとえば,ある企業が1株あたり10万円で資金を集めて20株を発行したとすれば,合計200万円の「株主資本」(equity)でビジネスを開始することができます。

この企業の1株(5%)を所有している株主(オーナー)であれば,企業が稼ぎ出す利益の5%が帰属します。

同様に,3株(15%)の所有であれば利益の15%が帰属することになります。

ビジネスは投資家のリスク負担によって推進される一種の冒険(ベンチャー)です。

成功すれば私たちの生活スタイルに変革を及ぼしますが,それは失敗するときの損失を覚悟できる投資家によって支えられています。

先の歴史的事例で言えば,美味しい肉料理を安価な胡椒で楽しめるようになることが,庶民にとって生活スタイルの変革を意味します。

しばしば利益の追求それ自体が批判される風潮さえ見受けられますが,消費者に恩恵をもたらすビジネスを単なるギャンブルと混同すべきではありません。

もちろん,成功する場合の利益が投資家に挑戦を促す原動力になっています。

仮に利益の追求それ自体が否定されるのであれば,誰もリスクのある投資機会には挑戦しなくなりますので,せっかく画期的なアイデアを思いついても実用化されないことになります。

現実にビジネスが社会を支え,ファイナンスがビジネスを支えている構造を理解しておくことは非常に重要だと思われます。