AIによる株式投資中級【株式分割】

株式分割【素人が1万円を300万円にした株式投資応用】

第五に,株式時価総額Eが先に決まると考えなければ,「株式分割」(stock split)を正しく理解することができません。

これは既存株主に対して無償で新株を割り当て,発行済株数Nを増やす財務活動です。

仮に株価Pが先に決まるならば,発行済株数Nの増加に伴って株式時価総額Eも大きくなってしまう理屈ですが,さすがにナンセンスだと言わざるを得ません。

単に株式分割を実施しただけでは企業の実態がまったく変わらないのですから,以前とまったく同じ株式時価総額Eを,以前よりも多い発行済株数Nで表現していると考えるべきです。

よって,株式分割を実施すれば,株価Pは下落するはずです。

企業が株式分割を実施したがるのは,1株のサイズを小さくすることによって,投資家が以前よりも少額から投資できるようになり,株主層を広げる効果があると期待されているからです。

しかし,現実には株式分割の実施がアナウンスされた後,かえって株価が上昇する不可解な現象もしばしば見受けられます。

もしかすると,部分である株価が先に決まると考えている投資家が多いのかもしれません。

仮にそうであるとすれば,そのような投資家の錯覚につけこんで,企業には積極的に株式分割を実施する誘因が生じます。

なぜなら,単に発行済株数を増やすだけで簡単に企業価値を高めることができるからです。

もちろん,経済学的に望ましい現象ではありません。

株価比較のナンセンス

第六に。単純に株価Pを並べても企業の優劣は判断できませんので,ほとんど意味のない比較になります。

というのは,たとえ株式時価総額Eが大きくても,発行済株数Nが多ければ株価Pは小さくなる理屈でして,その発行済株数Nの多さは,単に株式分割を大々的に実施した結果にすぎないかもしれないのです。

ピザ全体の大きさを比較するならば多少の意味はありますが,ナイフを入れる切れ目の数が違うのですから,一切れのサイズを比較して何が言えるのでしょうか。

これは世間一般で非常に多く見受けられる間違いです。

たとえば, 2005年9月の新聞記事によると。三菱電機の株価が日立製作所の株価を逆転しています。

この当時,株式時価総額Eで比較すると,三菱電機は約1.6兆円である一方,日立製作所は約2,4兆円でした。

つまり,ピザ全体では日立製作所のほうが大きいのです。

次に,発行済株数Nを比較すると,三菱電機は約22億株である一方,日立製作所は約34億株でした。

つまり,ナイフを入れる切れ目の数も日立製作所のほうが多いのです。

最後に,株価Pを比較すると,三菱電機は729円である一方,日立製作所は703円でした。

しかし,ごく単純に株価が高い三菱電機のほうが優良企業であるとは言えません。

仮にこの直後に三菱電機が1:2の株式分割を実施したとすれば,株価は365円程度になるでしょう。

これをもって,ただちに日立製作所のほうが優良企業という評価に切り替わるのでしょうか。

要するに,この新聞記事ではまったく無意味な比較をしていることになるのです。