AIによる株式投資中級【株式市場】

新しい企業形態として株式会社が画期的だったのは,出資者の脱退と企業の資金量との関係を切断したところです。

たとえば,胡椒貿易のために大きな船を買ったとしましょう。

仮にある出資者が個人的な事情で脱退を希望するとして,いちいち出資金の払い戻しに応じるとすれば,企業はそのつど資金を用意しなければなりません。

しかし。すでに船は港を出ていますから,今さら呼び戻して船を切り刻み,部材を現金化するのも馬鹿げた話です。

その点,株式会社であれば,出資者は単に手持ちの株式を他の誰かに譲渡するだけで資金回収の目的を果たしますから,企業が出資金を払い戻す必然性はなくなります。

したがって,最初から安心して大きな船を買えるようになり。安価な資金量でビジネスを継続できます。

株式を譲り受けた投資家は,そのシェアに応じて従来の旧株主に代わるオーナーとなります。

株という金融資産に「流動性」を持たせるおかげで,実物資産(機械・設備など)のほうに「固定性」を与えられるのです。

なお,企業から株式を引き受けた投資家であっても,他の投資家との入れ替えで株式を譲り受けた投資家であっても,企業に株主資本を提供する役割において違いはなく,同
謇の株主権を持ちます。

投資家が企業に資金を払い込んで株式を引き受けるプロセスは「発行市場」(primary market)であり,企業にとって資金調達の場となります。

他方,投資家が株式を譲渡することによって資金を回収する場が「流通市場」(secondary market)です。

発行市場で生み出された株式が。転々と流通収場で持ち主を変えていきますが,売買の価格は企業の業績に応じて変化します。

購入時よりも企業の業績が好転していれば「株価」が上昇し,その投資家は利益を得ますが,逆ならば損失が出ます。

流通市場の取引をギャンブルと同一視し,まったく経済に貢献しない存在とみなす人がいるかもしれません。

たしかに,株式の譲渡で大儲けする投資家がいたとしても,企業の資金量とは関係が成り立ちませんので,社会にとっては発行市場だけが必要であり,流通市場など不要と思われがちです。

しかし,株主資本を返済しないルールのもとで,もし流通市場がなかったとすれば,最初の株主がいつまでも株式を保有しなければなりません。

となると,出資金を回収できないため,誰も最初の株主になろうとはしないでしょう。

つまり,企業は資金調達ができないのですから,ただちに市場も機能しなくなるはずです。

流通市場を閉じてしまうと,発行市場もダメになるという意味において,これらは「クルマの両輪」(片輪だけでは無意味)の関係と言われます。