AIによる株式投資中級【現在価値】

裏返して今度は逆方向に考えてみましょう。

投資家の要求収益率を10%としたとき,「1年後の100万円」は「現在の90.9万円」と等価の関係になります。

なぜなら,現在の段階で90.9万円を運用すると,1年後には(1十0.1)倍に膨らんで100万円になるからであり,単にそれを裏返しただけの話だからです。

このとき,「1年後の100万円」の「現在価値」(PV: present value)は90.9万円であると表現されます。

同様の考え方に基づき,「2年後の100万円」の現在価値は,82.6万円となります。「3年後の100万円」の現在価値は75.1万円です。

一般化して述べると,現在価値は,n年後のキャッシュフローを(1十要求収益率)のn乗で割ったものとなります。

この種の作業を「割引計算」と呼びます。

現在の値打ちで測る際,n年後のキャッシュフローが見かけどおりの価値があると思えば過大評価になってしまうので,“割り引率で見積もる必要があるということです。

近い将来のキャッシュフローになるほど縮み方が著しく、現在価値は小さな数値になります。

なぜなら,割引計算において加速度的に分母が大きくなっていくからです。

さて,将来価値と比べて現在価値は一段階ぐらい難しい概念と感じられます。

しかし,カネには人間を味方につけて増殖する性質があることを思い出しましょう。

数値例において、収入が1年遅れるごとに利殖の機会を1.1倍ずつ失っています。

このとき,時間を味方につけていない分だけ低くなると考えれば,だいぶ理解はスムーズになるのではないでしょうか。

さらに踏み込んで述べると,時間を味方につける話にはリスクの要素も含まれています。

資金をさらす危険だけでなく,資金を増やす機会にも直面しているということです。

リスクプレミアムの人だけ将来に向けて追加的にカネを増やす機会に恵まれているのですから,裏返して考えると,収益が遅くなるごとに,そのような機会を味方につけていない分だけ追加的に値打ちが低くなると考えればよいでしょう。