AIによる株式投資中級【要求収益率】

では,リスク回避型の投資家がリスクを負担してもよいと考えるためには,期待収益率にどのぐらいの上乗せが必要になるでしょうか。

言い方を変えると,投資家はどのぐらいの収益率を要求すべきでしょうか。

すでに述べたように,投資をすべきか否か,あるいは,2つ以上の投資機会のうち、どれが有利かを判断する場合,時間とリスクを必ず念頭におかなければなりません。

まず,時間に関してですが,投資によって,現在の消費を断念する代わりに,将来の消費を高めようと試みていることになります。

自分自身で使わず。他の誰かにカネの使用権を譲っているのですから,その代償として報酬を受け取るべきです。

さもなければ,我慢してまで他の誰かに使わせようとは思わないでしょう。

このように,成果が確実な投資でも受け取れる“時間の報酬”を「無リスク利子率」(risk free rate of return)と呼びます。

これはあらゆる投資に共通するカネの基本レンタル料だと考えればわかりやすいでしょう。

厳密に言うと無リスクではありませんが,おおむね1行預金や国債の利子率が相当します。

次に,リスクに関してですが,投資によって,確実な価値を断念する代わりに,不確実な価値を試みていることになります。

損失が出てしまう確率が高い投資ほど,そのリスクの高さに見合った代償として追加的な報酬を受け取るべきです。

このように,成果が不確実な投資で受け取るべきリスクの報酬”を「リスクプレミアム」(risk premium)と呼びます。

これは投資案件ごとに異なるカネの追加レンタル料だと考えればわかりやすいでしょう。

以上の2つの要素を合計したものが投資家の「要求収益率」(required rate of return)であり,無リスク利子率にリスクプレミアムを加えたものになります。

いわばカネの総レンタル料に相当します。

当然ながら。リスクが高くなるほど,それに見合った要求収益率は高くなります。

いま,低リスク案(簡単化のために無リスク)が期待収益率2%をもたらすとしましょう。

仮に高リスク案が期待収益率10%をもたらすとして,このときリスク回避型の投資家が低リスク案から高リスク案に乗り換えたとするならば,期待収益率の差である8%はリスクの高さを埋め合わせるの
に必要な上乗せ分だと言えます。

共通の要素である無リスク利子率は2%ですから,低リスク案の要求収益率は2%である一方,高リスク案の要求収益率はリスクプレミアムの8%を加えて10%ということです。