AIによる株式投資中級【配当と内部留保】

第三に,しばしば見受けられる誤解ですが,現時点で配当が少ないというだけの根拠で株主を軽視していると決めつけることはできません。

ある大きさの利益を前提とするとき,たとえ現在の配当が少なかったとしても。もし現在の内部留保のおかげで,より多くの将来の配当を生み出すならば,株主は十分に報われるはずです。

内部留保は事業活動(ビジネス)に対する再投資に使われますので,実際に株主が報われるかどうかは,投資プロジェクトの良し悪しにかかっています。

ジャガイモ畑を連想してみてください。

今年に得られた収穫(現在の利益)をすべて食粗(現在の配当)にまわせば,将来の収穫(将来の利益)が少なくなってしまいます。

いくつかは種芋(現在の内部留保)として確保しておき,食べるのを我慢して土(ビジネス活助)の中に埋め込みます。

栽培(マネジメント)が成功して収穫(将来の利益)に恵まれるならば,将来にはより多くの食糧(将来の配当)が得られます。

これらの予想が芋畑の値打ち(株式時価総額)を決めることになります。果たして芋畑のオーナー(株主)を軽視していると言えるでしょうか。

単に現在の配当が少ないというだけの根拠で株主を軽視していると決めつけてしまうのは,その裏側で現在の内部留保が果たしている役割を無視しているところから来る誤りです。

第四に、配当の代わりに利益の現在価値を計算した場合,株式という金融商品を過大評価することになってしまいます。

ときどき,配当にまわされなかった内部留保も本来は株主に属するはずだから,“利益”割引モデルで株価を測るほうが望ましいと主張されることがあります。

仮にこの考え方にしたがうならぱ,利益総額をx x2, x3…とするとき,株式時価総額Eはこれらの現在価値を合計したものとなります。

しかし,配当は成果,内部留保は犠牲ですから,これらを混同するわけにはいきません。

再びジャガイモのたとえ話ですが,芋畑の値打ち(株式時価総額は,得られそうな収穫(利益)ではなく,食べられそうな食糧(配当)を評価して決めるべきです。

種芋(内部留保)を評価に含めてしまうと,食べるのを我慢して土の中に埋めた犠牲分をカウントしていることになります。

現在の犠牲で将来の成果が得られるのですから,両方をカウントすると二重計算になってしまうのです。

そこで,成果と犠牲のちがいに留意して配当割引モデル(DDM)の本質を再検討してみましょう。

定義的に利益から内部留保を差し引いたものが配当になります。

よって,一般にt年後に関して,企業の総額ベースで利益をXt,配当をDIVt,内部留保をRtとするとき, DIV,≡X.-R,が成立します。

この関係をそのまま総額ベースの配当割引モデル(参照4.2.)に代入してみましょう。

すると,株式時価総額Eは,利益X,. x2, x3…の現在価値から内部留保Ri. R2≫ R3…の現在価値を差し引いたものであることがわかります。

これは配当DIV DIV2. DIV3…の現在価値を別ので表現したものになっています。

間違っだ利益”割引モデルのもとでは,内部留保Rl. ^2’R3…の現在価値を差し引かない分だけ過大評価になることがわかるでしょう。

なお,過去や現在において無配であっても,株価がゼロになることは通常ありませんし、配当割引モデル(DDM)の説明力を疑う理由にもなりません。

なぜなら,株価を決めるのは将来の配当だからです。

どれほど遠い将来であっても,どこかの時点で配当が開始されるならば,それ以降のキャッシュフローが現在の株価をプラスにします。

極論すれば,一度も「利益配当」をせずに解散ずる場合であっても,最後に分配される残余財産が「清算配当」となります。

その残余財産がゼロであり,いかなる意味でも配当ゼロが続くというのであれば,たしかに現在の株価はゼロになるでしょう。

しかし,そのような悲劇的結末が現時点で予想されていないからこそ,現在の株価がプラスになると考えるべきです。