AIによる株式投資初級【金融庁改革のインパクト】

金融庁は、不良債権問題に対応し金融システムの不安を取り除くことに主眼を置いた金融行政から脱却する。

ルールベースからプリンシプル(原則)重視に本格的に転換するのが特徴で、象徴的なのは検査・監督改革だ。

金融機関経営に最も影響するのが検査・監督改革。この背景には金融庁の前身、金融監督庁が誕生した経緯にある。

当時、バブル崩壊後に生じた不良債権問題が深刻化し、1997年に都市銀行の北海道拓殖銀行が破たんするなど金融システム不安が高まっていた。

1998年に発足した金融監督庁が最重要課題に据えたのは金融システムの安定と利用者保護、市場の公正性・透明性の確保だつた。

1999年7月には検査官の手引書として金融検査マニュアルを策定し、金融機関に厳格な自己査定を求め、不良債権処理を急いだことが金融危機の終息につながった。

だが、平時に戻っても金融危機時の手法を続けたため、副作用が目立ち始めた。

これが改革の問題意識で、金融システムの安定と企業の成長につながる金融仲介機能の発揮が両立できるように見直す。

最初に着手したのが検査部門と監督部門の一体運営だ。欧米主要国では主流の考え方で、正常な態勢になりつつある。

ここ数年は実質的に進めてきたが、2018年7月には検査局を廃止し名実ともに一体化させた。

金融機関の融資姿勢を実質的にしぱつていた金融検査マニュアルも2019年度以降になくす。

検査マニュアル廃止後の検査・監督の枠組みは①最低基準の検証②将来の環境やビジネスモデルに合わせた動的な監督③ベストプラクティス(好事例)に向けた探究的な対話-の3本柱で構成する。

象徴的なのは動的な監督で、持続的に自己資本比率規制などの最低基準をクリアできるよう早期の対応を求める手法だ。

最低基準に抵触する段階では取りうる改善策の選択肢が限られるためで、金融庁幹部は「持続可能なビジネスモデルの問題を抱える場合には予防的に早い段階から改善するよう対話する」という。

足元では人口減少や低金利環境の長期化で収益力が低下する地域銀行を念頭に置く。

この考え方に合わせた早期警戒制度の見直しも検討している。

検査マニュアルの廃止後に金融庁の問題意識が示されるのは「考え方と進め方」という文書になる。

業界など関係者と対話しながらブラッシュアップする「ディスカッション・ペーパー」で、随時、分野別に公表する。

現在までに示したのは金融機関の健全性評価に対する考え方やコンプライアンス・リスク管理基本方針。

以降も必要なテーマで示していく。

また、貸出債権の自己査定や償却・引き当てを定めた「別表」を廃止するのに伴い、関連ルールも見直す。

抜本的な改正は想定しておらず、現状の実務に沿って検討中。

引き当てにはビジネスモデルや与信方針などを反映できる仕組みを目指している。

金融庁による各分野の問題意識はプリンシプル(原則)形式で示される。だが、抽象的な記述が多くなり、金融界では「過剰介入や当局の仮説を押し付けられる」との懸念も大きい。

金融庁は正確な実態把握と対話を重視するとともに、外部からの批判が行政に反映される仕組みを構築したい考え。

問題点があれば改善を重ね、不断の見直しを行う。

こうした当局の姿勢は対話路線を主軸とする新たな検査・監督のカギになる。

金融庁幹部は「当局が相手(金融機関)の立場に身を置き、当事者意識で議論しなければ対話は成り立たない」としている。

数年来、進めてきた検査・監督改革は総仕上げの段階にあるが、課題も残る。2018年は金融機関の法令順守上の課題が表面化するケースが相次ぎ、改革の効果に疑問の声が出始めたためだ。

金融庁幹部は「重箱のすみをつつくと指摘されたかつての姿に戻るつもりはない」とし、必要な改善を進める考え。